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外国人に生活保護を出す国の現状と課題を比較

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生活保護制度は、社会保障の重要な柱として多くの国で実施されている。しかし、外国人に生活保護を出す国の現状は、国によって大きく異なり、様々な課題を抱えている。アメリカ生活保護や海外の外国人生活保護の実態を見ると、制度設計や運用に関する問題点が浮き彫りになる。生活保護の世界比較を通じて、外国人への支援のあり方を考える必要がある。

この記事では、外国人への生活保護支給の背景や各国の対応状況を分析する。また、制度の問題点を詳しく見ていき、生活保護の課題をわかりやすく解説する。外国人に生活保護を出すことがおかしいという意見もある中で、制度の在り方や将来的な展望について批判的に考察していく。これらの検討を通じて、より公平で持続可能な社会保障制度の構築に向けた示唆を得ることを目指す。

目次

外国人への生活保護支給の背景

グローバル化の進展

グローバル化の進展により、財やサービス、資本の国境を越えた取引が拡大し、企業や個人レベルでの相互連結性が高まっている[1]。これに伴い、人の移動やアイデアの交換も拡大し、日本社会の国際化が進んでいる[2]。現在、日本には約322万人の在留外国人がおり、2013年の206万人から大幅に増加している[3]

人権意識の高まり

外国人の人権を尊重し、共生社会を実現するための意識が高まっている[2]。しかし、外国人に対する差別や偏見も存在し、文化の違いから生じる誤解や言葉の壁が問題となっている[2]。生活保護法の「国民」の範囲について、日本に生活基盤を置く外国人も含めるべきだという議論も出てきている[3]

少子高齢化と労働力不足

日本の少子高齢化による労働力不足は深刻な問題となっている[4]。2023年10月末時点で、国内で働く外国人労働者数は204万人を突破し、過去最高を更新し続けている[4]。政府は、人手不足が深刻な産業分野で外国人材の受け入れを可能にする「特定技能」という在留資格を新設した[4]。しかし、外国人労働者の増加に伴い、生活保護を受ける外国人世帯も増加しており、2016年度には月平均で4万7058世帯に達した[5]

各国の対応状況

寛容な国々

フランスは、外国人に対する生活保護制度において比較的寛容な姿勢を示している。参入最低所得(RMI)と呼ばれる制度では、25歳から64歳までの生活困窮者を対象に支援を行っている[6]。給付内容は生活費の現金給付が中心で、住宅・医療・介護は別の制度で対応している[6]。財源は全額県負担であり、全国統一基準で運用されている[6]

制限的な国々

一方、日本は外国人に対する生活保護制度において比較的制限的な立場を取っている。生活保護の対象者は年齢制限なしの生活困窮者だが、扶養義務の範囲が広く、配偶者間、親子間、兄弟姉妹間、その他の3親等内の親族まで含まれる[6]。また、資産調査が厳格で、原則として収入認定の対象となる[6]。財源は国が3/4、都道府県・市等が1/4を負担している[6]

中間的な立場の国々

ドイツとスウェーデンは、外国人に対する生活保護制度において中間的な立場を取っている。両国とも社会扶助という制度を持ち、生活困窮者を対象としている[6]。ドイツでは連邦政府が全国標準を示し、州・市が独自の基準を設定する[6]。スウェーデンでは食費や衣料費等は全国統一基準だが、住宅費等はコミューン(市)が設定する[6]。両国とも資産調査を行うが、一定程度の資産保有を認めている[6]

制度設計上の論点

国民との公平性

外国人に対する生活保護の措置は、法律上の権利として保障されているものではなく、一方的な行政措置によって行われている[7]。これにより、生活に困窮する外国人は、法を準用した措置により利益を受けるが、権利としてこれらの保護の措置を請求することはできない[7]。この点で、国民との間に公平性の問題が生じる可能性がある。

外国人の保護は法を準用して行うため、実施機関は一般国民に対する場合と同様の調査を行う必要がある[7]。しかし、外国人の場合、生活実態や家族構成、稼働状況、収入状況等の適確な把握が困難であるため、申請者の協力が特に重要となる[7]

財政負担と給付水準

生活保護費の財政負担は、国が3/4、地方自治体が1/4を負担している[8]。しかし、地方財政における生活保護費の割合は市によって大きく異なり、一般会計歳出の1%にも満たない市がある一方で、10%を超える市も存在する[9]

財源不足の問題も指摘されており、2007年度のデータでは約1,113億円の財源が不足していたとの試算がある[9]。これは、各市の生活保護費総額の4.78%に相当する[9]

就労支援と自立促進

生活保護受給者に対する就労支援施策として、ハローワークと福祉事務所が連携したチーム支援や、就労支援員による相談・助言、求人開拓などが実施されている[10][11]。就労自立給付金や勤労控除、就労活動促進費などのインセンティブ制度も設けられている[10][11]

しかし、就労支援事業の実施状況には地域差が見られる。就労支援事業への参加率を都道府県別にみると、最も高い県と低い県との間には約50%の差がある[10][11]。また、就労支援事業を通じた就労・増収率においても、約35%の差が見られる[11]

これらの課題に対応するため、就労支援事業等におけるKPIの見直しや、参加率および就労・増収率の向上を目指した取り組みが行われている[10]

結論

外国人への生活保護支給は、グローバル化、人権意識の高まり、少子高齢化による労働力不足など、様々な要因が絡み合う複雑な問題です。各国の対応は異なり、寛容な姿勢を示す国もあれば、制限的な立場を取る国もあります。日本の場合、制度設計上の論点として、国民との公平性、財政負担と給付水準、就労支援と自立促進などの課題があります。

これらの課題に取り組むには、包括的なアプローチが必要です。公平性を保ちながら、財政の持続可能性を確保し、効果的な就労支援を提供することが求められます。同時に、文化の違いや言葉の壁といった障壁を乗り越え、外国人と共生する社会を築くことも大切です。バランスの取れた制度設計と運用を通じて、より公正で持続可能な社会保障制度を実現することが、今後の重要な課題となるでしょう。

FAQs

Q1: 外国人受給者の生活保護の現況について教えてください。

A1: 現在、外国籍の生活保護受給者は約69,000人、世帯数では約45,000世帯とされています。これらは全生活保護受給者の中で、個人では3.28%、世帯では2.8%を占めており、日本人受給者への影響は限定的です。

Q2: なぜ一部の外国人は生活保護を受けられないのですか?

A2: 2014年7月の最高裁判所の判断により、外国人は生活保護法の対象外とされています。しかし、人道的な観点から、多くの自治体が1954年の旧厚生省の通知に従い、生活保護法を準用して外国人への保護を提供しています。

Q3: 生活保護を受けている外国人は主にどの国の出身ですか?

A3: 生活保護を受けている外国人の中で、最も多いのは韓国・北朝鮮出身で2万8796世帯、次にフィリピン出身が4902世帯、中国が4443世帯、ベトナムが651世帯となっています。

Q4: 外国人が生活保護を受けることは法的に問題がありますか?

A4: 生活保護法の第1条によれば、生活に困窮する国民に対して保護を提供することが規定されており、法的には外国人は対象外です。しかし、実際には多くの自治体が特例として外国人にも保護を提供しています。

参考文献

[1] – https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je19/h03-03.html
[2] – https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1366959129466/simple/common/other/58c5eb17011.pdf
[3] – https://www.tokyo-np.co.jp/article/302795
[4] – https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/know-how/263
[5] – https://www.sankei.com/article/20180503-6XU5F6YLGVPTLDVS6EUOAYYMTY/
[6] – https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004c72-att/2r98520000004ca7.pdf
[7] – https://www.city.nakatsugawa.lg.jp/material/files/group/8/Gyousei_H290426_26-1-1konkyohourei.pdf
[8] – https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/11/dl/s1104-3b.pdf
[9] – https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h22pdf/20107801.pdf
[10] – https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/000865547.pdf
[11] – https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg1/291018/sankou1-11.pdf

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この記事を書いた人

webマーケッターつけ蔵 中小企業経営者 マクサンメンバー 大学卒業と同時にIターンで地方移住&創業 事業でコケ借金1000万超え&うつ病発症 結婚を機に仕事だけに全振りする人生を辞め、仕事も暮らしも楽しく 人生の質を高める探究 讀賣巨人軍

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